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東京地方裁判所 昭和48年(特わ)311号 判決

被告人

1

本店所在地 東京都板橋区成増二丁目一九番四号

有限会社 栄光産業

(右代表者代表取締役 柴崎栄一)

2

本籍 東京都板橋区成増二丁目一六三番地

住居

東京都板橋区成増二丁目一九番四号

職業

会社役員

柴崎栄一

大正一四年一月二二日生

被告事件

所得税法違反、法人税法違反

出席検察官

丸山利明

主文

1  被告人有限会社栄光産業を罰金二〇〇万円に

被告人柴崎栄一を懲役一年および罰金二、三〇〇万円にそれぞれ処する。

2  被告人柴崎において、右罰金を完納することができないときは、五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

3  被告人柴崎に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人会社は、東京都板橋区成増二丁目一九番四号に本店を置き、遊技場の経営を目的とする資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人柴崎は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているほか、右同所に居住し、同所ならびに同区成増二丁目一九番二号および東京都練馬区北町二丁目三八番七号の三箇所において、それぞれ個人で遊技場を営んでいたものであるが、被告人柴崎は、

第一  自己の所得税を免れようとくわだて、収入金の一部を除外して簿外預金を設定する等して所得を秘匿したうえ、

一  昭和四四年分の実際総所得金額が七一、三六九、〇三三円あったのにかかわらず、昭和四五年三月一〇日、東京都板橋区板橋一丁目四四番六号所在の所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、昭和四四年分の課税総所得金額が二、五三三、〇〇〇円でこれに対する所得税額が七八九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出する不正の行為により、同年分の正規の所得税額四三、八一七、七〇〇円と右申告税額との差額四三、〇二八、六〇〇円を免れ(別紙一、四)

二  昭和四五年分の実際総所得金額が九一、〇七一、一一二円あったのにかかわらず、昭和四六年三月一五日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、昭和四五年分の課税総所得金額が六、八四一、〇〇〇円でこれに対する所得税額が二、一〇二、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出する不正の行為により、同年分の正規の所得税額五六、六四四、〇〇〇円と右申告税額との差額五四、五四一、三〇〇円を免れ(別紙二、四)

第二  被告人会社の業務に関し、法人税を免れようとくわだて、売上の一部を除外し、これによって得た資金を簿外の貸付金とする等して所得を秘匿したうえ、昭和四五年八月一日から昭和四六年一月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二九、二四〇、三六八円あったのにかかわらず、昭和四六年三月三一日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、一六〇、九二〇円でこれに対する法人税額が一、六四七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出する不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一〇、四八三、一〇〇円と右申告税額との差額八、八三五、二〇〇円を免れ(別紙三、五)

たものである。

(証拠の標目)

(かっこ内は立証事項で数字は別紙一ないし三の各勘定科目の番号、押は当庁昭和四八年押一〇七〇号のうちの符号)。

一  被告人の当公判廷における供述(全般)

一  被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(乙1ないし13)(全般)

一  被告人の検察官に対する各供述調書(乙1415)(全般)

一  被告人作成の次の上申書

1  大木寛に支払った地代について(乙17)(一の26、二の26)

2  田中新太郎殿との取引について(乙18)(一の24、二の24)

3  車輛の購入および売却、除却について(乙20)(二の35)

4  家計費の支出明細について(乙22)(二の2033、三の15)

5  昭和四四年度、昭和四五年度の売上高について(乙23)(二の6、三の1)

6  不動産売買等に関する明細書の提出について(乙24)(一の612132829、二の10)

7  安田火災海上保険株式会社に支払った火災保険料等について(乙25)(一の26、二の26)

8  各年、各店別経費(給料賃金等を除く)について(乙26)(二の31、三の615161921)

9  各年、各店別売上原価について(乙27)(二の6831、三の24)

10  電話の設置について(乙28)(一の19)

11  各年末および期末の現金有高について(乙29)(一の1、二の1631)

一  登記官作成の登記簿謄本(甲一1)(全般)

一  須田喜與子に対する大蔵事務官の各質問てん末書(甲一2ないし5)(全般)

一  須田喜與子の検察官に対する各供述調書(甲一6ないし8)(全般)

一  木村尚央作成の上申書(甲一14)(一の6)

一  水村正治に対する大蔵事務官の質問てん末書(甲一16)(一の11)

一  株式会社毎日商会業務課長鈴木隆作成の「当社と柴崎栄一および有限会社栄光産業との取引について」と題する書面(甲一35)(一の10)

一  第一商事株式会社武田真禎作成の「取引内容について」と題する書面(写)(甲一36)(一の10)

一  東京都練馬税務事務所長作成の公租公課収納状況の照会に対する回答書(甲一62)(一の26、二の26)

一  大蔵事務官作成の次の書面

1  買掛金の調査書(甲一64)(一の22、二の22)

2  未払金の調査書(甲一65)(一の25、二の25)

3  支払手形計算書(甲一66)(一の21、二の21)

4  銀行借入金および同支払利息調査書(甲一67)(一の23、二の23)

5  雑収入の調査書(甲一68)(二の31、三の23)

6  株式等配当金の調査書(甲一69)(一の272830、二の2729)

7  預金等残高および収入利息等調査書集計表(甲一70)(一の34528、二の3452737)

8  預金残高および収入利息等調査書(甲一71)(一の24、二の24)

9  給料、賞与支給額調査書(甲一72)(三の5)

10  株式売買保証金の推移および株式売買損益(信用取引)の調査書(甲一73)(一の920)

11  柴崎栄一の所有株式の受払および譲渡損益の調査書(甲一74)(一の820)

12  減価償却資産の異動に関する調査書(甲一76)(一の141516171820282931、二の1213141517203235)

13  現金、有価証券等現在高検査てん末書(甲一79)(一の7、二の7)

一  板橋税務署長作成の証明書(甲一75)(三の25)

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲一77)(一の110、二の18)

一  押収してある次の証拠物

1  元帳一綴(押11)(全般)

2  所得税源泉徴収簿一綴(押12)(二の2633)

3  契約書等一綴(押13)(二の7)

4  不動産売買契約証書等一袋(押15)(一の28、二の6)

5  領収証等一袋(押20)(二の16)

6  所得税源泉徴収簿二綴(押2435)(二の28)

7  法人税決議書綴一綴(押37)(全般)

8  四四年分申告所得税課税台帳一綴(押38)(全般)

9  四五年分申告所得税課税台帳一綴(押39)(全般)

10  青色申告書類つづり三綴(押404142)(全般)

(法令の適用)

1  被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項。

2  被告人柴崎につき各所得税法二三八条(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)、法人税法一五九条(懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の二の罪の刑に加重)、四八条二項。同法一八条(主文2)。同法二五条一項(主文3)。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正貸借対照表

柴崎栄一

昭和44年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別表二 修正貸借対照表

柴崎栄一

昭和45年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙三 修正損益計算書

有限会社 栄光産業

自 昭和45年8月1日

至 昭和46年1月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙四 税額計算書

柴崎栄一

昭和44年1月1日~昭和44年12月31日

〃45年1月1日~〃45年12月31日

事業年度分

〈省略〉

〈省略〉

注1.4 妻柴崎はるの資産所得(47.9.13付 修正申告額)

注2 昭和44年分 法97条の資産所得合算後のみなす所得額に対する税額の計算(附則別表第一)

72,278,000円×0.75-9,481,500円=44,727,000円

注3 〈省略〉 44,722,050円×0.02=894,441円

注5 昭和45年度分 法97条の資産所得合算後のみなす所得額に対する税額の計算(附則別表第一)

92,688,000×0.75-11,332,000円=58,184,000円

注6 〈省略〉 58,184,000円×0.02=1,163,680円

別表五 税額計算書

〈省略〉

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